Interview: Aux Portes Du Métal 2011/01 日本語訳

, Interview 3 Feb. 2011

Japanese translation of this interview:

Interview de Stratovarius Lauri Porra (face to face), 11 Janvier 2011
http://www.auxportesdumetal.com/interviews/Stratovarius2011-uk.html

日本語訳について

Stratovariusのインタビュー。フランス語のサイトだけど、この記事は英語です。

Helloweenとのツアーはどうですか?
まずは順調に進んでいるよ。もちろん、当初Jörgがともにツアーに出られなかったことは不運なことだったけれど、Alex Landenburgは素晴らしい代役を務めてくれた。それに会場も素晴らしくて、たくさんのオーディエンスがいたんだ。Helloweenのオープニングを務めるというのはとても良いことだったよ。本当に楽しんでるし、雰囲気も良いんだ。
Jörg Michaelからのニュースを何か教えてくれますか? 今はどんな状況ですか?
うん、まだ三ヶ月かもう少しの間、治療は続けなければならないんだ。けれど彼の癌は、最も治療しやすい類のものだったんだ。今は元気になっているよ。ちょうど今夜のサウンドチェックを終えたところなんだけど、ほんとうに素晴らしかったよ! すごく安心した。
「Elysium」についてですが、やはり「Polaris」と同じようにメンバー皆が作曲を? 今回はMatias(Timo Tolkkiに代わって加入したギタリスト)がより多くの曲を書いたのでしょうか?
そうだね。いや、Jörgは作曲はしないんだけれど、けれど彼もアレンジには携わっている。それ以外では、「Polaris」と同じかな……誰かが書いた曲を、一緒に作っていく。Matiasはより多くの曲を書いたよ。以前よりもバンドに慣れたしね。実際「Elysium」の大部分の曲がMatiasの作なんだ。「Polaris」ではまだお互いを知ろうと努めている段階だったけれど、今はもう完全にバンドと一体となった。
Helloweenとのツアーのために、予定より早くアルバムをリリースしなければならなかったそうですが、結果として出来には満足していますか? よりアイディアを深めるためには、もう少し時間が欲しかった? また、そのために完成できなかった曲などはあるのでしょうか?
幾つかそうした曲はあったけれども……けれど、アルバムには良い曲が収録できたと思う。だから、仮にあと数ヵ月多くアルバム制作に費やせたとしても、結果に大きな差はなかったと思っている。影響といえば、Matiasがアルバムのプロデュースをするにあたって、より速く仕事をしなければならなくて、スタジオに長い間入っていたということだ。
「Elysium」は「Polaris」と比較すると、より大胆で、斬新な作品になったと言える?
うん……「Polaris」はもっと、まず自分たちについて再確認するようなものだった。「Elysium」は「Polaris」を制作して、そしてそれに続くツアーをする中で学んできた成果としての作品になったんだ。一緒に作品を作る経験を積んで、慣れてきたから、より多くの選択肢が見えてきたし、深めることもできた。より多くの権限をMatiasに与えることになったし、彼もStratovariusの動力をより理解するようになった。今は、完全なバンドになったと感じるんだ。「Polaris」のときは、なにもかもが新しいことだったし……だから少し違っていた。俺たちはこの新しいアルバムを本当に誇りに思っているし、Stratovariusがここしばらくリリースしてきた中でも、最も強力な作品になったと思っているよ。
Stratovarius史上、最も長い曲を作ったのは、挑戦的なことでしたか? 「Elysium」は実に18分もある曲ですね。
「Elysium」を作り始めたときは、実際、25分あったよ! 幾つかのパートを削らなければならなかった。あの曲はMatiasが作ったわけだけれど、俺は、長い曲を作ることそれ自体は難しいと思わない。それをどのように作っていくかが難しいんだ……長い曲にはたくさんの要素がありすぎるからね。「Elysium」をよく聴けば、三つの曲に分かれていることが解ると思う。「Polaris」で「Emancipation」という長い曲を作ったけれど、そのときは半分ずつに区切ったんだ。けれど、あれはやはり区切るべきじゃなかったといつも思っていた。だから今回「Elysium」では、こうして一つの大曲にしたんだ。
あなた自身が気に入っている曲は?
「Under Flaming Skies」はすごく好きだよ。それから「Elysium」も。けれど俺にとって「Elysium」は、最初から最後まで通して聴きたいアルバムなんだ。だからこのアルバムのお気に入りは、アルバムそれ自体なんだよ。
現在Helloweenとのツアー中ですが、新アルバムは今週出たばかりですね。今後、単独ツアーを行って、より多く新曲をやる予定はありますか?
今のところは、このツアーと、それから南米あたりに行く予定と、それから夏フェスの計画があって、秋には次の状況がわかるかもしれない。ツアーをしたいとは思っているけれど、まだ計画段階だ。
さて、Stratovariusのようなバンドが、たった1枚しかDVDを出していない、それもきちんとしたライヴDVDではないというのは驚きです。今後DVDリリースの計画はあるのでしょうか?
過去にはDVDの計画はいろいろあって、幾つものライヴを撮影してはいたんだ。一度はミラノで、一度はフィンランドで、ブラジルのサンパウロでも。けれど常に技術的な問題があって思うようなものにならなかったり、製品化には至らなかったりした。今はバンドのメンバーも変わってしまったから、古いものを出したいかどうかわからないしね。正直なところ、今バンドにとってDVDリリースは最優先事項だとは思えないんだ。こうして新しいアルバムを出したし、それにまた次のアルバムを出したいと思うし。DVD制作は、もっと他にすべきことがないような場合にやることじゃないかな。もしライヴ映像が見たいのなら、YouTubeなんかで見られるし……
いやいや、それとDVDとは別だってあなたも思うでしょう?
うん、気持ちはわかるんだけど。けれど、かつてバンドはたくさんのライヴを撮影したけれど常に巧くいかずに、結果、莫大なお金も浪費してしまったわけで、DVD制作については慎重になってもいるとも思うんだ。
バンドとTimo Tolkkiとが別の道を歩み始めてから、いくらか時が経ちましたね。彼についてはどう考えていますか? また、バンドが困難に直面していた頃についてどう思いますか?
過ぎたことは、過ぎたことだよ。それは確かに残念なことだったけれど……そこから、良いことも生まれてきた。もちろん彼には巧くいってほしいと思っている。彼はほんとうに才能のある人だし、偉大なミュージシャンで……それは俺たち皆が思っていることだ。俺たちとは別の道を歩む方がいいと彼が判断したにせよ、俺たちは彼にとって物事がうまくいってほしいと思っている。
ちょっとした好奇心ですが、Timo Tolkkiの新しい作品を聴きたいと思いますか? 彼はSymfoniaというバンドをはじめていますが……
うん、もちろん。彼がやっているあらゆることに対して、俺たちはいつも「今は何をしてるんだろう?」って感じだからね。好奇心は強いんだよ。それに彼も俺たちのやってることに対して好奇心を持ってると思う……いずれにせよ、彼は偉大なミュージシャンだから、彼の作品は今後も知っておきたいな。
先だってリリースされた「Polaris Live 2009」はとてもパワフルで、ライヴそのままの自然さですね。オーバーダブも全くしていないように聞こえますが……
そうだね、オーバーダブはほとんどしなかった。1、2ヶ所ちょっと修正したくらいだよ。どんなライヴアルバムでも必ず、多少の修正はあるものだからね。より自然にできたのは、ツアーのほとんどで録音の準備をしていたからなんだ。たった一度の機会というわけじゃなく、十五もの公演から選ぶことができたんだ。だから「今日は『その』日だから、完璧にやらなければ……」なんて思うことなく、よりリラックスしてプレイすることができた。ライヴアルバムのことばかり考え過ぎなくてよかったんだ。それに、ミキシングのMikko Karmilaがすばらしい仕事をしてくれたんだ!
ライヴアルバムの話ですが、あなたはそうしたものをよく聴きますか?
昔のライヴアルバム、たとえばThin Lizzyの「Live and Dangerous」とかそういうのは好きだな……曲が少し違うからね。けど正直のところ、最近のテクニカルなバンドの、アルバムそのままの演奏をするようなライヴアルバムはあまり聴かない。もちろん、そのバンドのファンならチェックはするだろうけどね。けどそれより、スタジオ盤を聴くほうがいいな。
あなたがたのようなジャンルの音楽をはじめて知ってもらうために、三枚アルバムを選ぶなら何にしますか?
Stratovariusからってことなら、「Dreamspace」、「Visions」、そして「Elysium」。これら三枚で、Stratovariusの歴史のそれぞれ違った時代がわかるし、またバンドの全体としてもベストなアルバムのうちに入ると思う。他のパワー・メタル・バンドからなら……俺はあまり知らないんだけど、Helloweenの「Keeper Of The Seven Keys」とか、そうした作品がおすすめなんじゃないかな……
質問されるのに飽きた、という質問は?
「なぜ新アルバムは『Elysium』というタイトルに? どういう意味があるの?」って質問かな。なぜかって言うと、俺は答えを知らないんだ。だから、いつも適当にでっちあげてるよ。(笑)
反対に、どんな質問ならされたい?
(長い沈黙)……わかんないよ!(笑)「やあ、君はソロアルバムを出してるらしいけど、どこで買えるの?」って聞かれたら「recordshopx.comで買えるよ」って答えられるから、その質問は好きかな!(笑)
最近、個人的に買ったCDは?
昨日、Serge Gainsbourgの「The History of Melody Nelson」ってCDを買ったよ。
2009年のHellFestで、良い思い出はありますか?
うん、たくさんある。楽しいショーだったよ! Suicidal Tendencieも出ていたしね。大好きなんだ。彼らのショーの終わりには、ステージ上に大きなモッシュピットができたんだ。俺もそこに居たんだよ! みんながステージに上がっていくのが見えたから、俺も一緒に上がっていったんだ! あと、Dream Theaterも見たよ。特に大ファンってわけじゃないんだけど、でも良いライヴだった。それに、Europeもね。けど俺にとっては、自分たちのライヴ以外について言うなら、Suicidal Tendencieはあの日最大のイベントだったよ。
インタビューの最後に、何か締めくくりとして言いたいことは?
応援してくれてありがとう。「Elysium」を買って、どうか消えていきそうな音楽芸術を支えてね。決してこれは、Stratovariusのアルバムについてだけ言ってるのじゃないんだ。今、CDという媒体は死にかけている。今は音楽が無料で簡単にダウンロードできてしまうけれど、決して無料で音楽を作ることはできないんだ。音楽の作り手は、生き残ることができなくなってしまう。だから、君が音楽が好きならば、どうかそれを買って支えてほしい。

いろんな意味でLauriらしい、優等生インタビュー。なぜかWarmenの写真が使われている。笑

バンド側としても、新体制でのチャレンジだった「Polaris」を経て今回の「Elysium」で方向性が確立したという位置づけなのかな。「Polaris」においてはLauriが過去からの橋渡し的な曲をたくさん作って貢献していたけれど、今回はMatiasに完全に権限を譲ってしまった感じ。バンド全体としての進化なのだろうけど、その潔さ謙虚さがちょっと寂しくもある……。

2009年のHellFest〜というところは、Stratovariusのライヴのことを聞かれたんじゃないのだろうか?笑 Suicidal Tendencieって知らなかったので調べてみたらMetallicaの人のバンドなんだね。Lauriがメタル(?)バンドについて熱く語っているのは珍しいなーと思ったらそういうことか。

アルバムとまったく同じような演奏をするバンドのライヴ盤はあまり興味ないっていうのはおもしろい。私もライヴは違うアレンジの方が楽しいなあと思うし、Lauriのアレンジしまくるところが大好きなので、やっぱりあれは意識してそうやってるんだなあ、と思うと嬉しい。

微妙な質問に対しても、客観的な美点をちゃんと挙げ、個人的好悪には言及しない。気配りはするけど嘘はつかない、そんなところもすごい。……すごいけれどもう少しくらい我儘でもいいのにな。

ちなみにrecordshopx.comというのはフィンランドのCDショップで、オンラインでも買える(英語サイトあり)。Lauriのソロは日本では日本盤が出ているから手に入りやすいけれど、他のローカルな作品を買うのに重宝している。

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