Interview: PureGrainAudio 2009/09 日本語訳

, , Interview 25 Mar. 2010

This is the Japanese translation of this interview.
Original text: http://puregrainaudio.com/interviews/stratovarius

去年の9月ごろのStratovariusワールドツアー中のインタビュー。

日本語訳について

あくまで「Stratovariusのメンバー」としてのインタビューなので、訊かれているのはバンドのことだけど、どこでも訊かれているから何度も読んだなーって話は少なめで、ちょっと変わった質問もあって面白かった(*´∀`)

どんなバンドも他の音楽に影響されていますよね。あなた方が強く影響を受けている他のバンドやアーティストにはどんなものがありますか?
俺たちは五人の違う人間なわけだから、それぞれ違うものが好きだ。Deep PurpleやRainbowといった古いバンドの影響も感じるという人もいるだろうけれど、Stratovariusはいつも全てのいろいろな音楽に影響を受けているんだ。たとえばクラシック、現代のメタル、フィンランドのポピュラー音楽、映画音楽といったね。影響はどんな音楽にでも感じられると思う。
もしも有名なミュージシャン(現在いる人でも、既に亡くなっている人でも)とジャム・セッションするとしたら、誰がいい? 理由も教えて。
誰かとジャム・セッションできるのはいつでもハッピーだよ。でも、バッハかモーツァルトの即興演奏が聴けたら素晴らしいだろうな。けど一緒にやるんじゃなくて、ただ畏敬の念を持って聴くだけだね。
アルバム「Polaris」は、どういった制作過程で作られたのでしょうか? 皆で一緒に曲を書いた? どれくらいかかりましたか?
皆それぞれ個別にで曲を書いて、そのそれぞれ違った作品を持ち寄って、それからStratovariusのアルバムとして一緒に固めていったんだ。すべてができるまでには一年ほどかかった。基本的には、曲を作るのに半年、レコーディングに半年。
「Polaris」に関する見解やタイトルにこめられた意味を教えてもらえますか?
バンドがうまくいかなかった時期には、もうすべては失われてしまったんだと思っていたし、どうやって続けていけばいいのかもわからなかった。俺にとってPolarisは、その暗闇の中からバンドとしての創造的な未来へと導いてくれた光の象徴なんだ。知っているかもしれないけれど、Polaris、つまり北極星は、夜空で一番明るい星で、昔からずっと北国の人々を導いてくれた星なんだ。それは再生し、力を取り戻したバンドの、新たなシンボルに相応しいと思えた。
このアルバムの中で、個人的に気に入っている曲、あるいは何かいいエピソードのある曲はありますか?
このアルバムには、すごく多彩な曲があるところが気に入っているんだ。「Forever Is Today」や「Blind」のような昔ながらの速い曲、「Winter Sky」のようなメロウでシンフォニックな曲、「Emancipation Suite」のような叙事詩的な曲、そして「Deep Unknown」のようなもっと現代的でプログレッシヴな曲。自分の好きな曲も、そのときの気分によって変わるんだ。
メタル・バンドとしてツアーする上で苦労することは? バンドが直面した最も困難なことはなんでしたか?
メタル・バンドでツアーをすることは大好きなんだよ。世界中を旅しながらプレイすることは、決して忘れられないような名誉な経験だと思う。困難なことといえば、ミュージック・ビジネスの現状だね。違法ダウンロードのためにどんどんCDが売れなくなっている今日では、成功するアルバムを作ること自体が非常に難しい。このままでは、どんなものを作ってもだめになってしまう。さらに不況のために人々がライヴのチケットに費やすお金も減り、多くのフェスやツアーが開催に十分なだけの利益を得られなくなっている。
「Polaris」を手にするファンはこのアルバムに何を期待できますか?
いくらかプログレッシヴでシンフォニックな要素を持つ、ソリッドなパワー・メタル・アルバム。
ライヴでの演奏は、レコーディング音源とどのように違っていますか?
俺たちはライヴのセットアップをすべて生の音にしようと心がけているから、バッキングトラックのようなものは使用しない。聞こえる音はすべてそこで演奏している音だ。ほかの同じジャンルのバンドに比べても、より生の音が響くように聞こえると思うけど、俺たちはたとえばDeep Purpleみたいな、昔のハードロック・メタルバンドのようなアプローチでライヴ演奏をするのが好きなんだ。それから、ソロコーナーやアコースティック・ナンバーで少しショー的な要素も入れているよ。
ツアーをしていると、いろいろな変わったことがあるでしょうし、初めての経験もあるでしょうね。なにか特に奇妙な経験として心に残っていることはありますか?
ロック・バンドとして旅すると、常にあらゆる種類のおかしなことが起きるんだけど、ほとんどのことは秘密にしておいたほうがいいね。ひとつのクラシックな「ロック・モーメント」の例といえば、ハンガリーでキーボーディストのJens Johanssonがパイロでトイレを破壊した話かな。俺はツアーの間にちょっとしたビデオを撮ってYouTubeにアップしているから、現在のStratovariusのオフステージに何が起きているか知りたければ、 http://www.youtube.com/user/lapaporra で「Tour in progress」シリーズをチェックしてみて。
ツアー中の生活について、一般の人の持っているイメージと実際のそれとでは異なることがあると思いますが、どのようにして旅をしているか教えてもらえますか?(バスで、バンでなど)移動の時間を過ごすために何か持っていきますか? ツアー中の暮らしの手配はどんな感じ?
俺たちのバンドは、すごくいい環境でツアーできているよ。自分たちなりの水準でできる限り快適な旅ができるように、少しばかりお金と労力をかけてる。ファーストクラスに乗ったりプライベート・ジェットを使ったりはしなくても、快適なバスや清潔なホテルを使えるようにしてる。俺はツアーにはいつもパソコンとミニ・スタジオを持っていくから、それで新しい曲を作ったり、テレビや映画の曲を書く仕事をしたりできる。それに、本とiPodも持っていくよ。最近はニンテンドーDSを買ったから、たぶんそれで長いフライトの時間を潰してると思う。ツアーの間に旅行らしいことをするのも好きだから、観光にでかけたり、美術館に行ったり、現地のいいレストランを探したりもしてるよ。
情熱を持ってツアーを続けるには、身体的なタフさも求められますよね。身体面ではどのようにしてツアーに備えていますか?
連日のパーティーだとかファストフードばかりの食生活だとかに屈しがちなツアーの中で、十分な体調を維持しようとするなんて難しいよ。今回のツアーもそれなりにやってみるよ。可能ならば、移動中に眠ることは不可欠だね。
Stratovariusの今後は?
ツアー、ツアー、ツアー、それからきっと新しいアルバム。

 以下、感想(*´∀`):

アルバムタイトル「Polaris」について

 このタイトルがLauriの提案であるということは、他でも触れられていたけど(多分Kotiが言ってたと思う)、今回初めて本人が語っているのを読んだかも。暗闇からバンドを導いてくれた光の象徴で、蘇ったバンドのシンボルに相応しいと思ったってくだりで、うるうる(´;ω;`)

 そもそも私はLauriファンになる前から一応Stratovariusリスナーで(今では「Lauriのバンドの一つ」な扱いになってるけど)、アルバムが出るほんの一年前には、皆もうStratovariusの歴史は終わったんだと思っていたわけなので。その時点では既に「昔聴いていたバンド」だったとはいえ、やっぱり悲しかったし、この復活劇はほんとうに感慨深い。

Lauriの必殺技の例

Q. どれが好き? → A. ぜんぶ好きだよ!
Q. 誰と何々してみたい? → A. 今既にできている人とで幸せ!
Q. これって大変だよね? → A. いや楽しいよ!

 このあふれる博愛精神と謙虚さポジティブさ……!

CDが売れない時代について

 Stratovarius最大のファンベースでもある南米あたりでは本当に違法ダウンロードが当たり前、みたいな感じらしい。Muse(このブログとは関係ないが、私が一番好きなバンドのひとつ)のMattは「CDが数枚しか売れてない国でライヴには何万人も観にくるんだよー」とか、わりと楽観的に(?)とらえていたけど、それはあくまでMuseくらいの人気が出ればのことであると思うし。

 私もYouTubeに上がってる音源を引用して紹介したりしちゃうけど、それはこんな良い曲があるんだよ……! と広めたいから。ファンならやっぱり各アルバムを買って聴きたい。

ニンテンドーDS

 旅の間もパソコンで仕事し、iPodを携帯し、携帯ゲーム機で遊ぶ現代っ子なLauriだけど、意外と読書家でもあるらしく、別のインタビューでもフランス文学が好きだって言ってた。ツアー道中ビデオや写真を見ると、Lauriはいつも(オフで観光中とかにも)一人だけ大きなショルダーバッグを持ち歩いているので女の子みたいでかわいい。

ツアー中の体調維持の秘訣は? → 移動中にできれば寝る。

 それだけかよ!笑 まあ節制してまーす☆とか体を鍛えていまーす☆とか言われてもおいおい嘘だろとしか思えないから、この「まあなんとかなるよ」っていう素直さが素敵というか。KotiやJörgは多少は節制してそうなイメージだけど、Lauriは仕事にも遊びにも全力って感じ。

“Touring, touring, touring and then hopefully a new album.”

 Lauriらしい締め。この時点ではhopefullyとなっているけど、その後Jensから新譜作るよ宣言があって、現在はすでに制作にとりかかりはじめている模様。


  さらに個人的な余談

 単に「Stratovariusのメンバー」としてではない、マルチジャンルベーシスト・音楽家としてのLauri個人のインタビューをぜひ読んでみたいんだけどな! どこかに無いのかなー。雑誌のバックナンバーで個人インタビューが載っているらしき情報を発見したんだけど、フィンランド語の雑誌なのでさすがに買えない……。

 Lauriはいろいろなバンドを掛け持ちしている(フィンランド音楽業界ではそれが普通らしい)けど、Stratovariusは少なくとも過去の歴史によるネームバリューという意味で並外れて有名だしワールドツアーもあるから、かける時間の比重は大きいんだろう。けど一方で、ESEみたいな全くの別ジャンルでのローカルな活動も、同じくらい大切にしているように思える。

 特にメタルファンというわけではないLauriは「メタルバンドのメンバーが、メタルファンの読者に対して回答する」という場に合わせて気配りしようとした結果、個人的なことを訊かれた場合にいつも微妙に困ってるようにも見える……今回はなんかバッハとモーツァルトとかいう方向に行っちゃってるけど。笑

 そんな空気読まずにもっと自分のことを勝手に語ってくれてもいいのになー! とLauri個人のファンとして思ったりも(まあ言ってもカットされてるだけかもしれないけど)。俺様成分が決定的に足りないんだよなーー、そんなところも人間的には魅力なんだけど。

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